ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章・紋章を継ぐ者達へ 考察 天地創造編 【2022.8.14更新】
天地創造編とは、紋継で語られる天地創造~神器の成り立ちに関する時代です。
天空界には神・天空人・竜神族がいます。天地創造により命が造られていき、天空人・ヤンバル族・ウェディ族によって神器システムが構築されていく時代です。
天地創造の時代は主に大賢者ナギ、三大精霊、古文書、ヤンバル族によって語られています。同じイベントでも立場によって受け取り方が異なる所が面白い時代です。それぞれの受け取り方を引用し比較しつつ、時系列を考察していきます。
*この記事には2022/12/2発売のヤングガンガン2022 NO.24に掲載された短編の影響はありません。
神器や呪文の詳細は別記事を参照下さい。
1.天地創造
内容 | 出典話数 |
天空には3つの種族、神、天空人、竜神族がいた |
紋継253話三精霊の話 |
炎・潮・雷は最古の上級精霊 |
紋継282話 |
神によって原初の三精霊 オウエン、シュライ、ソウカが生み出される 自然の力を高め混じ、世界を命で満たすため地表に使わされる やがて海と空に生命が溢れていく
*神=大賢者ナギ |
紋継253話三精霊の話 |
昔々太古の昔、人がまだ人でなかった頃 世界は天変地異が続いていた オウエン、シュライ、ソウカ 三大精霊が我が物顔で猛威を奮っていた 地上で生き物が平和に生きていける場所は皆無だった |
紋継248話古文書 |
天空界にはすでに神・天空人・竜神族の3つの種族が存在しています。
『DRAGON QUEST MONSTERS 1 ILLUSTRATED BOOK』によると、天界で生み出された『原生人間』という存在がおり天空人はその直接の子孫にあたるとされています。資料に沿って考えると天空の3種族の発生順は神が先、次いで竜神族、天空人が最後となるようです。
『DRAGON QUEST MONSTERS 1 ILLUSTRATED BOOK』ではモンスターの分類区分が詳細に行われている
天空界に関連する生物については進化系統図の左ページ・下の赤枠部分が該当する
原生人間→天空人、妖精=精霊、エンシェントドラゴン=竜神族
紋継26巻253話三精霊の話で天地創造時の様子がわかるようになります。
三大精霊が一生懸命大地を造ったのに古文書では悪者になっているという…畏怖を通り越している気がします。
ダブラの聖域に保管されていた古文書
賢者として覚醒したベゼルが呪文により修復しハクラクが解読を進めていた
この古文書がいつの時代に誰によって書かれた物なのかは明かされていない
三大精霊の見解
古文書では好き勝手に傲慢にしていたように見える三大精霊だが
実際はナギの命に従い仕事に励んでいただけだった
2.天地創造後
内容 | 出典話数 |
ヤンバル族が現れる ヤンバル族は神器が生まれるずっと前から生きており 神器はもとより精霊達のことも知っている |
紋継248話ヤンバル族 |
直接精霊と繋がっている種族がおり精霊の力を扱っていた 本来の呪文の形 |
紋継248話ヤンバル族 |
天空の民と魂の交感を交わしていた 天空人のように魂が繋がれば呪文が発動できる |
紋継253話三精霊の話 |
ヤンバル族の出現時期がはっきりしませんが天空人が呪文を使っていた事を知っているという事でこの辺りの時期になるかと思います。
ウェディ族の出現時期も不明ですが概ねヤンバル族と同じくらいではないでしょうか?
天地創造後~紋継時代までのウェディ族はDQ10時代と見た目が異なります。個々により海の生物っぽさが残っています。ウェディ族の進化を表現しているのだと思われます。
紋継時代のウェディ族達
天地創造の時代の頃でも人に近いウェディ族は存在している
姿のバラつきが均一になるのは遥か未来のDQ10時代
ヤンバル族は天地創造~紋継時代でも目立った変化はない
3.三大精霊休止
内容 | 出典話数 |
命が満ちた事で役目を終え神が用意した神座に着く 世界を眺めているだけ、自然の秩序もそれで保たれていた |
紋継253話三精霊の話 |
安寧の世界を作るために 大賢者・ナギによって精霊が封じられた 精霊は祠・神座に封じられた |
紋継248話古文書 |
精霊が祠に閉じ込められ 精霊と繋がっている種族が呪文が使えなくなる
*精霊と繋がっている種族=天空人 |
紋継248話ヤンバル族 |
どの立場も概ね同じ内容ですが、ここでも古文書の悪し様がやや現れています。
古文書でのナギは悪い三大精霊を調伏した地上生物のヒーロー的に書かれているが事実とは異なる
呪文が使えなくなってしまったのが驚きです。
紋継時代でのジパングの神座は呪文を組み合わせつつ容易に発動させるための装置でした。紋継・グノン戦でのシルシル・ミシルのメガンテのように、ジパングの神座に安置されていても精霊が望めば担当外の呪文でも発動させることは可能でした(紋継26巻250話)
ナギの神座は精霊と同調できなくなる上、同調者のために精霊が望んで呪文を発動させる事もできなかったのでしょうか?
気になるのは『三大精霊の封印=呪文が使えない』の点です。
シガンがいつから存在していたのかははっきりしていませんが、 天地創造が済み大地がある状態なのでこの頃にはすでに存在していたとも考えられます。神座システムに関係しない大地の精霊・シガンと同調すればシガン由来の呪文は使えたはずです。シガンがいなくともソウカの配下である水の精霊、風の精霊は存在していたと思われ、これらの精霊と同調すれば呪文は使えたはずです。
紋継時代では三大精霊解放でシガンが活性化していました(紋継30巻282話) 三大精霊が神座に奉じられた事で他の精霊にも影響があったのかもしれません。
シルシルとミシルとソウカの会話
シガンの存在が明確になっているのはアルト時代のシドー戦の最中から
それ以前は不明だが早ければ天地創造時代の大地創造時に誕生したと考えられる
ソウカがDQMCHに登場する水の精霊と風の精霊を従えている図
ソウカが神器システムに奉じられる前の図であれば
水の精霊と風の精霊は天地創造時代に存在している事になる
4.神器誕生
内容 | 出典話数 |
神座への封印から何万年後 精霊の力を引き出して利用しようと考える者が現れた 世界に3つの拠点を設け(聖域) 聖域にて精霊を納めるための器(神器)を完成させた 陰と陽の性質を持つ神座と聖域、それらの引き合う力を利用して 精霊の力を引き出すことに成功した |
紋継248話古文書 |
天空人を筆頭にヤンバル族ウェディ族が三精霊を神器に移し 三精霊の話呪文を引き出す装置とした |
紋継253話 |
世界中の賢者が集まって呪文が使える装置を考えた 人間でない者が人間になるほどの長い時間をかけて完成した 炎の山ダブラの賢者ヤンバル族の長も関わっている |
紋継248話 |
神器とは命と魂を代償とした 祖たる三種族の神と交わされた盟約 盟約の消失、精霊の解放は種族の命と魂を代償とする
*ナギ=神 *3種族の魂と命を引き換えにナギに盟約を願っている |
紋継259話ナギ |
シュライを繋ぐ鎖は 太古に神の座に列する大賢者によって施された封印 |
紋継197話 |
神器製造
三種族の内もともと呪文を使っていたのは天空人のみ、不便さを痛感していたのは天空人のみでした。天空人がヤンバル族・ウェディ族を巻き込んで神座・神器のシステムを構築したような気がしないでもないです。
神器を造ったのはナギではなく三種族。オリハルコン製の炎の神器を精錬する技術はこの時代にあったようです。神器以外にも対となる観測装置などもこの時期に合わせて製造されたのでしょうか?(神器とその対になるものは聖域で作られています(紋継15巻151話))
神座・神器システムの特徴として3つの神器を神座に奉じる事で精霊が持つ力を複合的に組み合わせて呪文を形成する事ができるようになります(紋継15巻151話)
例えばイオは炎・潮・雷の三種の属性を使う呪文です(紋継29巻270話)
ヤンバル族の見解
『精霊と直接つながっている種族』が曖昧だがそれ以外は正解
精霊と繋がっている種族が天空人を指すのは確定だが
イメージ図には竜の姿と人のような姿も描かれている
竜神族が神と同等の能力を持つとすれば精霊の力を借りる必要性は薄くなる
竜神族も呪文が使えなくなっていたかもしれないが神器には関わっていない事は確定している
天空人(天使の輪付き)がウェディ族とヤンバル族に話を持ち掛ける
発案者の天空人だけではシステムのガワだけでも完成させる事はできなかったとわかる
神器システムの構築
ナギが行ったのは神器に精霊を封印する事だけ。しかしこれがナギにしかできない上要求する内容がなかなかエグいです。
『盟約の消失、精霊の解放』とは基本的には神器システムの崩壊を指していたのだと思います。ナギ・三大精霊が神器システムを仕上げてやったのだからそれが損なわれたら三種族全員の命で落とし前を付けてもらうぞと。
紋継時代にシュライが神器から出ていた時期がありましたが、神器システムの崩壊とまではいかなかったので盟約は保たれていたのだと思います(紋継19巻197話) 神座から全ての神器が離れていた状態は崩壊ではなく停止という事でこれもセーフとされていたのではないでしょうか。
ナギの見解
地上の子らが精霊を利用しようとするのもそれを巡って騒ぎになろうとも全ては小さな事
いずれ精霊を解放する事も予見していた
神器システムの代償は発案者の天空人だけでなく三種族全て
神器システム完成の間際には三種族が等しく関わっていたと推測できる
5.神器誕生後
内容 | 出典話数 |
ダブラの聖域はヤンバル族が守る事になった
*ダブラの聖域:ヤンバル族+人間(印) *チュクチの聖域:海の民+ウェディ族(印) *ウルルの聖域:天空人+天空人の末裔(印) |
紋継248話ヤンバル族 |
ナギ曰く、神座も聖域も私の子孫が守人となる 種族を問わず印となって現れる 血の繋がりは異なっても印を持って生まれた子が守人となる 守人の本当の役目は精霊と言葉を交わす事 |
紋継248話ヤンバル族 |
神器に封じられた精霊は怒っていた |
紋継248話ヤンバル族 |
憤りや呆れもあったが 生命の営みを見守るのは楽しくもあった |
紋継253話三精霊の話 |
三精霊は天空の民同様 精霊と魂が繋ぐ事ができる者を探していた 勇者の血筋には一目を置いていた 勇者を中心とする戦士達にも魂の昇華を見ていた
中立的立場はその血の交わりにも示される通り 種族に関わらず紡がれてきた
*意訳:勇者には様々な種族の血が混じっているが 特定の種族に肩入れすることなく 世界の秩序のために常に中立の立場であり続けた
神器に入って以降同調者が現れたら 神器から解放されようと思っていた |
紋継253話三精霊の話 |
神器システムのサポート
神座も聖域もナギの子孫が守ると宣言されている所が興味深いです。
神器誕生の際には三種族にかなりの代償を要求し突き放したようにも見えましたが、結局は神器システムの崩壊を防ぐためにナギがサポートに入っています。三種族にとって三大精霊は手に余るものでありナギの力を持って御しなければ立ち行かなくなるという事でしょうか。また三大精霊の話を聞く役目も持ち合わせ精霊側もケアしています。ナギにとっては三大精霊も三種族も可愛い我が子のような存在なのかもしれません。
ナギの印を持つ者達の図
ジパング人がいるのでムーが滅んだ後のイメージ図となっている
右から反時計回りに
天空人の末裔:ウルル
ネクロゴンド・人間:ダブラ
ジパング・人間:神座
ウェディ族(DQ10と同じ形状・水かきなしの5本指):チュクチ
人間?:?
ヤンバル族:ダブラ
ヤンバル族近くの人間らしい人物がよくわからない
『また何百年も』の真下の地図に唯一白いマークが入っている
バハラタだが特に神器には関係ない地のはず
紋継時代のダブラの聖域の守人・ハクラクの様子を見るに、印を持って生まれた子は守人の一族内に現れているように思えます。守人不在の時期はあってはならないもの、何の当てもなく世界中から探し出さなければならないような状況には陥らないようになっているのでしょう。
ネクロゴンド火山付近の村では火山の神はこの地の生まれでない人間が近づくのを嫌がるとされている
ダブラの聖域とその守人の関係を示している
神座と聖域はナギではなく三種族が作ったものなので、何事かの事態によって別の場所に設定する事はできるはずです。ただ時代が下るに従い伝承が薄れており移設の技術も失われているように思えます。
三大精霊と勇者
神器に封印された三大精霊は虎視眈々と神器の外に出る機会を伺っています(紋継26巻253話) 神器の封印中は楽しい事がありつつも嫌な事もあったんでしょうね…気の遠くなるほど長い間自由を失い、オウエン曰く木っ端=ミジンコ的な存在にいいように使われ、守人は話を聞かなくなるという…事態は悪化する一方なので嫌気が差すのも頷けます。
同調者として以前繋がっていた天空人ではなく新たに勇者を選んだのも面白い所です。天空人が神器に関与した事により三大精霊の中で天空人の評価はガタ落ちとなっています(紋継26巻253話) さらに天空の者・竜人族は世界のことになど関与しないものとされています(紋継30巻280話)
一方勇者はと言えば個々の寿命こそ短いものの、三大精霊が造った世界で暮らし一生懸命世界を守ってくれます。紋継34巻321話でこの星の死は三大精霊の死でもあると語られています。それを抜きとしても三大精霊は自身らが造った世界に強い愛着を持っているようです。世界に関心のない天空人よりも世界を想ってくれる勇者のほうが心に響いたのでしょう。自身が愛する物を共に愛し共に守る、そんな素敵な存在を勇者の血脈の先に見ていました。
天空人に見切りをつけ勇者に目を付ける三大精霊
勇者もまた天空人の末裔である事を忘れてはならない…
嬉しい誤算としては勇者の血脈以外の人間にも適性が現れた事
精霊と勇者の血脈以外の人間との結び付きはDQ7の精霊の加護へと繋がるように思える
中立の立場という事であれば海王の王国も該当します(ロト紋4巻18話)海王の王国が治めるのは海底のみで天空の者・竜神族と同様に積極的に世界を守る存在とは異なるかもしれません。三大精霊の望む存在ではない事になります。
三大精霊が神器から解放されると同じ世界で暮らす三種族ももろとも消滅してしまうんですが(紋継27巻259話)、これに関しては感情の起伏は起こっていません。自分の造った世界と同調する契約者は大事ですがその他の事はさほど関心がないようにも受け取れます。
6.蜃気楼の塔
場所 | 内容 | 出典話数 |
蜃気楼の塔 |
蜃気楼の塔が造られる?
*太古から存在する神々のアーカイブ |
紋継303話 |
蜃気楼の塔は太古から存在しているとされています(紋継32巻303話)
『神』という言葉が深く関わってきそうなのは天地創造の時代とDQ9の時代、天地創造の時代に造られている可能性も大きい気がします。
天地創造からの大賢者の直接の記憶はないが蜃気楼の塔は神代から存在している
この時代の大賢者・ナギと未来の大賢者達との繋がりは不明ですが、蜃気楼の塔を通じて天地創造からの大賢者の記憶を知る事は可能なのかもしれません。
いくつかのナンバリングを経てアルト編へと続きます。
追加修正
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冊子スキャン時特有の歪みやノイズが出ている所があります。
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